2010年12月26日

回顧 (1945-⑤)

  
今年もあと僅か。恒例の今年の漢字が「暑」と決まりましたね。100年以上ぶりと言われた記録的な今年の猛「暑」とともに、今年もなにかと話題の多かった年でもありましたよね。。

                   
 【終戦記念日】 
 今年は終戦65年の節目の(正確には「敗戦」と呼ぶべきだが)年にあたり、8月15日の記念日には政府主催の戦没者追悼式典が多くの遺族らが参列して行なわれ、また、この日を回顧した新聞やテレビなどで悲惨な兵士たちの特集記事や若くして散っていった特攻隊員のこと、戦争や空襲などの体験した話、その他悲惨な国民の生活の回顧ど・・・。などが連日報道されていたが、、私たちの年代にとってどんな評価が下されただろうか。

 【予備学生】 65年前のこの日、私は横須賀の海軍機関学校に入校し、第6期「海軍予備学生」として促成の海軍士官の基礎訓練をうけていた。3月に入校して以来5か月余がたちほぼ基礎訓練を終えて、近く配属先がきまる時期がになっていたが、終戦により私たち全員は予備学生を罷免され、同月21日に帰郷を命ぜられた。
 (したがって私には、経歴上は軍隊の経験がないことになっている。)

 、この短期間期間であったが、この間に受けた厳しい海軍教育は私のその後の人生観に大きな影響を受けたと自負している。このことは、機会を見て書きたいと思っている。、

 【訓練】 もともと私の志望は、技術系の予備学生を希望していたが、同日入隊した約500名の中から選抜されて前記の機関学校入校となったもので、同期性生100名全員が旧制工専の機械、電気などの理工系卒業者で(大卒4名もあった)で構成されたものであり、どのような基準で選抜されたか、何の担当になるなどの説明等かなんらなく何もわからないままに訓練をうけた。

 訓練は海軍士官として必要な座学と体力向上のための実地訓練で手旗信号、モールス信号をはじめ海軍体操、カッター、棒倒し競技、遠泳、相撲、銃剣術など・・・・・中身のの厳しい訓練であった。中でもきつかったのは駆け足訓練(今ではマラソンという)であった。
 朝6時の「総員起こし」から夜10時の「巡検」まで休憩などなく、そしてすべてが団体訓練の連続で、僅かに夕食後の「煙草盆出せ」と号令後の[休憩時間)だけが自由時間という生活。

メモ】 以下の記事は、終戦が決まったのち、個人貸与の教科書や私物のノートなどを全て焼却するよう命ぜられ、密の毎日記していた日記なども全部焼却してしまったため、薄れた記憶をたどって書いたもので日時等は不正確である

 特殊潜航艇「海龍」
 入校してから3か月ぐらい経った頃に、教官から私たちは特殊潜航艇「海龍」に乗船予定であると告知された。
 日米開戦時に日本軍が真珠湾(ハワイ)攻撃した際に爆撃機のほかに特殊潜航艇5隻(当時海軍内では「甲標的」と呼ばれていた)が参加してハワイ湾に進入したということを教官から聞いて知ったが、沖縄での日本軍の敗戦(6月中ごろ)が決まり、次の本土決戦となると予測しこれに使われる予定で、日本海軍が本土決戦用として建造中の兵器だとの説明があり私たちはこれに搭乗することになっているとのことであった。

 このころには。我々でも日本の敗戦が濃厚になったと思っていたが(我々は士官待遇というので機密の回覧文書が閲覧できた)、一般国民に対しては最後には日本が勝利すると信じさせており、この決戦用として(今風にいえば一打逆転用をねらい。航空機による特別攻撃によるがおこなわれ戦果あげていると発表しつずけていたのだ。


 「海龍」は長さ17m余、胴回り(太さ1,5m)の2人乗りの潜航艇で、「甲標的」やその後行われた「回天」などは積載母艦から発進したものであったが「海龍」は日本沿岸に造られた基地から自力発進するもので、飛行機のような両翼をもち自由に潜航、浮上ができるような構造となっており、、また魚雷2本を両脇に抱えて、魚雷発射後は基地に帰還することなるなどとの説明があった。
(写真は呉市の大和Mに展示されているものである)
 
 しばらくしてから、米軍のたびたびの空爆で「海龍」の魚雷が製造できなくなったと教官の説明があり、このため艇前部に爆薬を装着し目標物(当初の戦艦攻撃から輸送艦に変更)に体当たりをするのだとの説明をうけた。


【生と死】 この結果、私たちは「海龍」で出撃していれば100%生還できないこととなったのだが、当時は特別に何の感覚も起こらなかった。いまから考えると不思議であった。、それだけ、私たちは軍時教育の中で教育を受けてきた結果であってのだろうとおもう。むしろ敗戦後の食糧難、就職難などのみじめな暮らしは今の人にはわからないだろうとおもう。
 あとは機会があれば書いてみたいと思っている。 












 
 












 
  


Posted by jiiyasan at 21:07Comments(3)